職人インタビュー

四国高知県で、木のオーダーメイド家具やインテリア雑貨をつくる、家具職人・竹平誠司さん。その昔、高校の教員だったこともある、職人としては異色の経歴の持ち主でもある。そんな竹平さんの、モノづくりにかける思いを、うかがってきました。

 

ーー竹平さんが家具職人となったきっかけを教えてください

やっぱり幼いころから、自然豊かな高知で生まれ育ちましたから、周りには製材所があったり、木工の道具が売られていたり、自分の周りにもそういう仕事をしている人たちが多かったことも起因していると思います。何かモノをつくったりすること自体も大好きでしたから。でも私は長いこと高校の教員をしていまして、家具職人となったのは40代の半ばごろだったかと思います。

 

ーー高校の先生だったとは驚きました…。それがなぜ急に職人の道へ?

教員という仕事も、もちろんやりがいのある仕事ですが、ずっと心のどこかでモノづくりをやりたいと思っていたんです。そんな気持ちを持っていながら、子どもたちに夢を語ると、自分自身やれていないことが滑稽に思え、大変なジレンマを抱えるようになっていきました。そして、最後に赴任した工業高校が転機となったんです。多くの子どもたちが切磋琢磨して技術を高め合い、立派に成長し、モノづくりの世界へ羽ばたいてゆく姿を目の当たりにしました。これは非常に刺激を受けましたね。このとき、自分もやろうと決意しました。そうして教員を辞めることにしたんです。

 

ーー教員を辞めるというのは一大決心ですよね。。 それから職人としての技術はどのように習得されたのでしょうか

まず基本的なことを学ばなくてはならないので、どこかに弟子入りするか、学校へいくかで悩みましたが、当時はどこも年齢制限があって、弟子入りも訓練学校への入学も、非常に厳しいものでした。それでも探し続け、なんとか長野県の訓練施設に入ることができ、1年間基本的なことを勉強させていただきました。

その後、高知へ帰ってきて、どこかに就職しながら勉強できればと考えていましたが、職業訓練の経験なんてものは採用に考慮されないんですよね。ましてや40半ばの人間ですから、まず採用はされない。そうなると、腹を決めて自分でやったほうがいいなと考え、自分の工房を持つことにしたんです。もちろん不安もありましたけど、行動しないことには始まらないので、とにかくやってやろうと思いました。そうして実戦を乗り越えながら、徐々に今のスタイルを築いていったという感じです。

 

ーーそうして設立された「創舎」では、オーダーメイド家具の製作をされていますが、製作の中で大切にしていることはありますか

インターネットを通じて注文を頂くこともありますが、可能な限り、家具を設置する場所を拝見させていただくことは大切にしています。日差しはどうか、人は頻繁に通るところか、小さいお子さんへの配慮など、その家族構成や設置場所の環境を見て、一度構想を寝かす。すぐにはつくりません。するとお客さんのほうからも「やっぱりあそこはこうして!」と後から意見が出てくることも多い。時間を置いてみたり、実際に目で見ることで、お客さんも真剣に想像して考えるようになる。そうして、お客さんの理想を浮き彫りにしてゆくのです。

 

ーー理想を形にするためにも、時間をかけてヒアリングしていくんですね。また竹平さんは家具製作のときに出た端材を使ってインテリア雑貨をつくると聞きました。これには理由があるのでしょうか

家具を作っていくと、必ず端材が生まれるんですよ。でもこの端材は廃棄するのも費用がかかるので、どうにか有効活用できないものかと考えていました。実は、この端材というのは、お客さんの負担にもなっているものなんです。

家具をつくるにあたり、材料費は当然商品価格に含まれます。でも木材は切ってみないと分からないから、製作するのに支障が出ないように、ある程度損失を見越して仕入れる必要があります。すると結局、作ってみたら端材がたくさん出ました、なんてことも起こります。当然、この発生した端材の分まで、商品の価格に乗っているのだから、価格も割高になる。

これを今までやってきた経験から、あらかじめ端材を想定した製作工程に見直すことで、端材分の金額を家具から差し引くことができるようになる上、端材でインテリア雑貨をつくることで、家具と同じ品質の高いモノが創れるようになる。これは使い手と作り手、両者にとって非常にメリットがあることなんです。

 

ーー非常に素晴らしい取り組みだと思いました!こうしてできたインテリア雑貨に大して、お客さんの反応はいかがですか?

おおむね良好ですよ。小物も作っていますから、あまり木の製品に触れたことがない人まで興味を持ってくださいます。ときどき色を塗ってると誤解されることもあり、「自然の色なんですよ」と説明してあげると非常に驚かれます。また同業者やハンドメイド作家さんからもお声掛けいただくことも増えましたから、これからの創作意欲へ繋がっています。

 

ーーこれからもさらに注目を集めそうですね。では最後に職人Timesをご覧の皆様へメッセージをお願いします

オーダーメイドは「高い」というイメージがあると思いますが、表面上の金額でモノの価値ははかれないと思うんです。安くても良いものもあるし、高くても悪いものもある。だからこそ、ブランドイメージに左右されないで、良いものをじっくりと選んでもらいたいと思います。しっかりした職人がつくる木のモノは、とても心地が良いものです。木も人間も自然の一部。作品を通じて、木が皆さんの暮らしの一部となるお手伝いをできたら幸いです。

 

竹平誠司 -TAKEHIRA SEIJI-

高知県出身の家具職人。高校教員から職人の道へ進み、木のオーダーメイド家具をはじめ、端材を使ったインテリア雑貨や小物類など、数多くの作品を手がける。手間を惜しまぬ徹底した手仕事へのこだわりと丁寧な仕事が、多くの人の心を惹きつけている。

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