何事も我慢が大切

2014-12-01:岐阜県

 

プロフィール

名前:柴田節郎
年齢:75歳
職人歴:50年

「何事も我慢が大事。確かな技術なくして、人々を魅了する陶器は作れない。
60歳を超えてから本物の作品は生まれる。」

美濃焼職人として、若い頃はひたすら技術を磨く為に鍛錬を重ねてきた柴田さん。
確かな技術を習得した上で、器のみならず、幅広いジャンルで活躍する職人であり、作家でもあります。

 

職人インタビュー

 

Q1.永仁の壺事件

柴田先生は、いつから陶芸を始めているのでしょうか。

実は私は昔から陶芸をしていたわけではないんです。
24、5歳の時までは、油絵を描いていたんです。

今から50年ほど前、この美濃地方でも陶芸が盛んになりだした頃で、陶芸協会もできました。私が陶芸を始めたのも、その頃です。

油絵を描かれていたという事は、元々芸術家さんだったのですね!
そして陶芸家としての職人歴も50年!
芸術の人生ですね!

ところで、柴田さんが陶芸を始めるに至ったきっかけは、どんなことがあったのでしょうか。

陶芸を始めるきっかけですか…
突然ですが、「永仁の壺」事件というものをご存知でしょうか?

「永仁の壺事件」?
すいません、初めて聞きました。
日本では有名なんですか?

日本でも、若い人は知らない人も多いのですけどね。
1959年、永仁二年(1294年)に作られたとされる壺が重要文化財として指定されました。小山富士夫さんという方が、その壺を重要文化財として推薦していたのです。
歴史的価値が認められたという事ですよね。
しかし、実はその壺は、現代作家の加藤唐九郎さんの作品だったことが後に判明したんです。要するに贋作だった訳ですね。そして、当時の文部技官だった小山さんは、責任をとって職を辞任することになったんです。

これが「永仁の壺」事件の概要です。

偽物だったんですか!
プロの目をも欺いてしまうとは、とても精巧な出来だったのでしょうね。

しかし、その「永仁の壺」事件と、柴田さんが陶芸を始めたきっかけは、どのようにつながるのでしょうか。

私は高校を卒業してから、陶磁器試験場というところで務めていたのですが、その時に小山富士夫さんに出会いました。

小山さんは、陶芸作家としても活躍しており、当時は誰もやっていなかった、青磁(せいじ)を垂らすような作品を仕上げていたんです。

質問ばかりですいません。
青磁を垂らすとは、それはどのような意味ですか?
青磁とは青緑色が特徴の釉薬です。
この写真は私の作品ですが、焼きあがった状態で、青磁が零れ落ちる様を表現しています。
時間の流れが止まって、その一瞬を切り取ったかのような作品ですね。
とっても珍しいと思います。
当時の小山さんは、このような作品を幾つも手掛けており、私もこのような器を作ってみたいと思い始めました。その為、小山さんの作品がきっかけとなって、私の陶芸家の道も始まったわけです。

 

Q2.オブジェを通したアート活動

柴田さんは美しい器だけではなく、オブジェをメインにした個展なども開いていますよね。アメリカのニューヨークで個展を開催した際には、世界的なロック歌手のデヴィッド・ボウイ氏も柴田さんの作品をご覧になったとか。

その時はそんな偉い人が来ているとは、全然気がついていなかったんですがね。(笑) 他にもロンドンやハンガリー等、色々な国で展示させてもらっています。

勿論、岐阜で個展を開くことも多いですね。

いくつか柴田さんの彫刻を見させて頂きましたが、非常にアグレッシブですよね。作風も、挑戦する心も。誰にも染まらない、柴田さんの色が多くの人を楽しませているんだと思います。

 

Q3.日本の陶磁器

陶磁器は世界各国で生産されていますが、日本で作られる陶磁器にはどんな特徴があるのでしょうか。

今はインターネットなどの普及もあり、情報伝達スピードも速いので、技術的な部分はすぐに共有できてしまいます。

そのため、今では世界中で同じような材質を使い、同じような技で陶磁器も作られます。

その中で唯一日本ならではの特色と言えば、日本で作られる器は、お茶の文化に合わせて作られるということでしょうか。

日本の文化、茶道ですね。
確かに、この文化は欧米のティータイム文化等とは異なる、日本独自のものですもんね。

そうです。

茶道に付随して作られた器は、日本特有の形になります。
和食を彩るような器も、独特の形になるものです。

それは世界各国見渡してもそうです。フランス料理を美しく見せる器。中華料理を豪勢に見せる器などね。

 

Q4.作家でもあり、職人でもあり、先生でもある

柴田さんは、職人、作家として創作活動をする傍ら、陶芸教室も運営していますよね。

人と関わることは昔から好きでしたから。

日本人の生徒もいますが、外国からの生徒も受け入れているんです。
「HOME OF CLAY ARTS」という名前で、ホームステイ型作陶施設を運営しています。

柴田さんの人柄からも、人と関わることが好きだということが伝わります。今まで「HOME OF CLAY ARTS」には、どちらの国の方がいらっしゃったんですか?

イギリス、オーストラリア、オランダ、イスラエル、カナダ、フランス、シンガポール等の方々が学びに来られています。

国を超えて日本の陶芸を教えてあげられることは、私としても大変嬉しいことです。私は英語が全く話せないんですがね。(笑) 生徒さんの中に、通訳をしてくれる方がいらっしゃるので、助けてもらってます。

住み込みで陶芸を勉強できるということで、日本の陶芸を勉強したい外国人にとっては、とっても嬉しいサービスですね。

こういう作陶施設は、あんまりないですからね。
現在もオーストラリアの女性が、陶芸を学びに来ているんですよ。

少々お待ちください。
彼女を呼んできます。

 

Q5.オーストラリアからの留学生

こんにちは!
なぜ日本で陶芸の勉強を始めようと思ったのでしょうか。

もともと日本に興味があり、陶芸を学びたいと思っていました。
日本の陶芸教室を探しているうちに、ここ「HOME OF CLAY ARTS」に辿り着いたんです。

でも東京などの大都市にも、陶芸教室はいっぱいあると思いますが、なぜこの地を選ばれたんでしょうか。

東京などの都市よりも、自然のある環境で学びたいと思ったのが理由のひとつです。また、柴田先生は初心者でも優しく教えてくれると評判のため、ここを選びました。

私も先程の陶芸体験の時は、柴田さんが優しく教えてくれて、凄く嬉しかったです。柴田さんは本当に素敵な方です。

 

職人 Times をご覧の皆様へメッセージをお願いします

何事も我慢が大事です。
継続することで創造力は養われます。

若い頃はひたすら鍛錬を積む。時を重ねて成熟した力を発揮するのは、60歳を超えてからでも大丈夫。

確かな技術の上に、経験と共に培った創造力が乗っかることで、ひとつの作品が生まれます。そこに至るまでは耐える。

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