2014.12.08 名古屋黒紋付染の取材リポート

リポーター:Rachel(レイチェル)

「私の家にも家紋が欲しいです。」

リポーター:鍵谷 隆

「黒紋付の羽織袴といえば、日本人のこころですね。」

カメラマン:荒川 剛

「着物を着ると、心が引き締まる思いがします。」

今回取材にご協力いただいた、黒紋付染職人の武田和也さんです。武田さんについては「職人紹介ページ」をご確認ください。

 

愛知県名古屋市天白区の伝統工芸士

皆様、こんにちは!

リポーターの鍵谷です。
愛知県名古屋市天白区に、親子2代で伝統工芸士の肩書をもつ、黒紋付染め職人がいると聞いてやってきました。

黒紋付きの羽織袴といえば、礼装として着用する和装です。
私も襟を正して取材に臨みたいと思います。

普段は洋服しか着ませんという方も、最後まで、お付き合いください。

 

名古屋黒紋付職人 武田和也さん

武田染工に到着すると、職人の武田さんに快く出迎えていただきました。

モノづくりの現場を見せていただく前に、武田さんからは家紋についてのお話や、黒紋付染職人ならではの苦労話などを聞かせてもらいました。
インタビューの様子については、こちらの職人紹介ページでご確認ください。

 

家系の数だけ家紋あり

様々な家紋を集めた紋帳を見せていただきました。

有名武将の家紋はご存知の方も多いと思います。
例えば、江戸時代を築いた徳川家の家紋は「三つ葉葵」。水戸黄門の「この紋所が目に入らぬか」のセリフはあまりにも有名です。

 

家紋のデザインは無限大

家紋は独自にデザインできるため、その数も膨大です。この紋帳に掲載しきれないものもあり、数万種類もの家紋が存在しているとも云われています。

中には、写真のような動物をあしらったユニークな家紋もありました。この家紋をつくった人は、どんな人だったのでしょうか。当主が兎年だったのか、ウサギに何かご縁があったのか、ウサギが大好きだったのか…。家紋が生まれたストーリーを知りたくなってしまいますね。

 

武田家の家紋

こちらが武田さんの家紋です。
梅の花がデザインされています。とてもカッコいいですね。

皆さんの家に家紋はありますか?
自分の家の家紋なんて知らないという方は、是非調べてみましょう。
もし、自分の家に家紋がない場合は、新しくデザインをしてもらうこともできるので、これを機に、オリジナルの家紋を作ってみてはいかがでしょうか。

 

紋様ができるまで

紋様の部分は黒に染まった部分から白く家紋を塗っていくわけではありません。

通称「メンコ」と呼ばれる、和紙で作った紋型紙(写真左)を白生地に張り付けたまま染色するんです。そうすることで、メンコを当てた部分が染まらずに、紋様の形(写真右)になるというわけです。
家紋の形に合わせて、メンコの形を調整しなくてはいけないので、大変ですね。

染色後は、家紋を描く専門の職人さんが筆を入れて、仕上げていきます。

 

染色中もズレないようにしっかりと固定

染色中にメンコがずれてしまわないように、紋当金網(もんあてかなあみ)という道具で押さえつけます。この技法は、名古屋の紋付染職人独特のモノなんです。

 

紋の数は5つ、3つ、1つ

黒紋付にあしらわれる家紋の数は、5つであることが最も格式高いと云われています。
写真の羽織も前面に2つ、背面に3つの計5つの家紋が付いているのが分かりますよね。

他にも、3つ紋や1つ紋があります。
1つ紋については、略式礼装として使われるそうです。

 

染色の現場へ

実際に染色の現場を見せていただくことになりました。
武田さんも顔つきが変わり、一気に職人の表情となりました。
真剣そのものです。

 

色の調合は無限大

お客様からの注文は黒色だけとは限りません。
武田染工では無地着物という部類も扱っており、お客様から注文される色は多岐にわたります。

無限にある色から、オーダーされた色をピンポイントで作り上げるのです。
この色の調合作業を失敗すれば、まったく違う色に染まってしまいます。

 

化学薬品を調合

美しく染めるには、さまざまな薬品の存在も重要です。

使用する水や、染め方などによって、星の数ほどある薬品の中から一番合ったものをチョイスするのです。それは長年の経験で培った、一種のスキルともいえます。

 

染色開始

染色開始です。
煮込み染めという方式で、薬品液で満たされた、大きい寸胴に染料を投入していきます。

染料が薬品液に溶け込んでいくのが分かります。

染料を入れたところで、いよいよ染めていきます。

中に入れた状態で、生地に十分染料が染み渡るまで、しばし待ちます。

ですが、今回お伺いした時は、武田さんは1度に4つの生地を染めていたため、休む暇もありません。
同時に進行している他の生地の染まり具合を、こまめに観察しなくてはいけないため、工房の中を戦場のように駆け回ります。

染まり具合を何度も確認します。
イメージ通りの色にならない場合は、染料を加えたり、染めの時間を調整したりして、お客様が求める色を追求していきます。

熟練した感覚と、経験がものをいう場面です。

 

脱水

染めの工程が終わったら、脱水機で水分を抜いていきます。

 

乾燥

脱水後は、乾燥です。
この部屋は、乾き易いように、常に部屋の温度が暖かく保たれています。
あまりの温かさに、思わず長居してしまいました。

 

武田染工

普段なかなか工房の中までのぞく機会もありませんよね。
染色の現場へ初めてお邪魔しましたが、とても新しい発見が多かったです。

染色といえば、色を染み込ませていくだけの単純なものと考えていましたが、染料や薬品の調合、均等に染めるための手間暇、どれをとっても熟練した職人さんにしかできない技術だと思いました。

普段嗜む美しい着物も、武田さんのような染色職人がいるからこそなんですね。
感謝しなくてはなりません。

今回は染色の武田さんでしたが、黒紋付の取材は今後も続きます!この次は紋章を描く職人、紋章上繪師(もんしょううわえし)に密着したいと思いますので、乞うご期待!

それでは、また!

 

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名古屋黒紋付染職人インタビューはこちら

 

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