職人インタビュー

兵庫県で切子ガラス作家として活動されている、松島舞さん。ものづくり好きが高じて、学生時代には窯業を学んでいたことから、釉薬などのガラスに触れる機会は多かったそうです。そんな中、偶然出会った切子ガラス。その格別な美しさに魅了され、自身も切子ガラスの道へ入ることを決意。そんな彼女のモノづくりにかける思いを、聞いてきました!

ーーでははじめに、切子ガラス作家となった経緯を教えていただけますか

高校はエスカレーター式だったんですが、正直あまり学校へ行きたくなったんです。毎日学校に通い、化粧して帰る、みたいな女子高生活を間近で見てきて「このまま学校に行って意味あるのかなぁ」と疑問を抱えるようになっていました。

そんなとき、高3の夏休みに、家族旅行で九州のほうへ行く機会がありまして。親は焼き物が大好きで、有田焼を見に行こうとなったんです。ただ当時陶芸に興味もなかったですから、乗り気ではなかったんですが、たまたま一緒に見に行って、「陶芸ってちょっと面白そうかも」と思うようになりました。そしてまた移動中のとき、窯業の学校を見かけて「ここに入ろう」と自然に思ったんです(苦笑)。

ーー最初は陶芸の道へ進もうと考えていたんですね!それにしても即決ですね(笑)

というのも、自分がOLしている姿が想像できなかったんですよ(苦笑)。もともと絵を描くことは大好きでしたし、物の色のバランスを見たりするのも好きでした。もっと大きく言うと、モノづくりが好きだったんです。そうして佐賀の窯業大学で、企画、製造、デザインなどを勉強していきました。中でもやっぱり形をつくる製造は面白かったです。釉薬の配合とか、土の強度はどれくらいかなど、考えるところもいっぱいあって。でも大学を卒業後、私は陶芸家にはなりませんでした。

実は当時陶芸ブームが結構来てまして、陶芸の教室がボンボンできていたんです。だから作り手も山ほどいて、そんな現状を見ていたら「自分がこれをやることに意味があるのかなぁ」「上に行けるのかなぁ」「やってて楽しいんかなぁ」なんて思うようになったんです。それから地元に戻り、近所のギャラリーや催事を見に行ったときに、偶然切子を教えてくれるクラフトパークのチラシが置いてあったんです。切子はもともと知っていましたけど、教室ってなかなか無かったので「いいなぁ」となって、習い始めたのが始まりですね。

ーーそうして入った切子の世界。はじめて作ったときの感想はどうでした?

めちゃくちゃ楽しかったですよ!教室には年配の方が結構多かったんですが、周りの人に「めっちゃうまいやん!」なんて褒められて、すぐ調子に乗っていました(笑)。もちろん、今思えばめちゃくちゃ下手なんですけど、形にすることはできたので「意外にやれるやん!」って。それからは、毎週通いながら勉強していき、後に教室の先生の師匠の下へ弟子入りしました。それが切子ガラス研究所になります。師匠の作品は「切子っぽくない切子」というか、とても自由な発想で作品をつくられていて、私の作風にも影響を与えているものだと思います。

ーーそうして切子に携わるようになり、間もなく10年目とのことですが、松島さんのモノづくりにおけるコンセプトがあれば教えてください

そうですねぇ。切子=高いって思われたり、ガラスは割れたらおしまいって言われることがたまにあるんですよ。でも、ほんとに好きなら、割れても金継ぎで修復して使っていただけますし、私の作品は切子にしては結構お手頃なんです。高過ぎて手が出なかったり、買っても飾って置いておくだけでは寂しいと思うので、老若男女、さまざまな年齢層の方へ向けて、切子を身近においてもらえるように考えています。またデザインにしても、基本的にそのへんに売っていないものを意識しています。

ーー確かに松島さんの作品は「ふじさん」や「ぎょぐん」のような、一風変わった作品も多いですよね。こうしたデザインはどういったときに思いつくのでしょうか

何かをモチーフにすることが多いですが、パッと出てくる感じです。だから形をどうしようかなぁって考えに考え抜いて製作しているわけじゃないんです。また作業を進めていく中で「ここはこうしてみようかな」「やってみよう」と直感でつくるときもあります。だから作品づくりで悩むこともあまりないんです。ただ、もともとのガラスの個性をどう活かすか、これはどんなときでも考えます。

ーー一口にガラスと言っても、色や質感など個性で溢れていますよね。そんな作品づくりをしてきた中で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください

そうですねぇ。百貨店に作品を出したとき、ぐいのみを買ってくださったお客さんが、工房のほうにわざわざお礼のハガキを送ってくださったことがありました。以降その方は、私が作品を出す度に、毎回のように買ってくださって。本当に私の作品を気に入っていただけたんだなぁと実感することができて、とても励みになりましたね。

ーーでは最後に職人タイムズをご覧の皆様へメッセージをお願いします

現在、ガラスと漆を組み合わせた、新しい作品を思案しており、漆の勉強をしています。本来、漆はガラスと合わないのですが、特殊な技法を用いることで、それも可能になるんです。今後はこうした新しい作品も、切子と合わせてご提案できるよう、尽力していきたいと思います。

松島舞 -MATSUSIMA MAI-

兵庫県で活躍する、若手切子ガラス作家。本物の切子を、暮らしの中で身近に使えるよう、リーズナブルな価格でお洒落な切子ガラスを手がける。

【略歴】
2006年 佐賀県立有田窯業大学卒業
大阪市立クラフトパークにて切子を習い始める
2010年 切子ガラス研究所 たくみ工房に入門
新美工芸会 入選
2011年 池田市展 入選
三田市展 入選
2013年 たくみ工房選抜展 出品