住井冨次郎商店

岐阜県岐阜市にある「住井冨次郎商店」では、室町時代から伝わる岐阜うちわを専業で作っています。専業で岐阜うちわを生産しているのは、日本で唯一住井冨次郎商店だけ。岐阜うちわづくりの現場に密着します。

 

岐阜うちわは一本の竹から

岐阜うちわは、ツギハギ無しの、一本の竹の木から、その土台である骨を作ります。そのため、節の間隔の短い孟宗竹(もうそうちく)は使えません。節の間隔の長い真竹(まだけ)を使用するのです。写真は加工する前の竹と、竹を裂いた後の物。1本の竹が、ここまで美しい姿に変わります。

うちわには手に取る芯の部分だけを、後から組み合わせる技法もありますが、岐阜うちわは一本の竹を加工して、骨を作り上げます。

 

冬は来年の準備

うちわの生産は冬の時期に、既に来年の夏(鵜飼のシーズン)に合わせて、準備をします。

 

迫力のある糊付け

うちわの骨組みに、糊付けを行っているところ。大きな刷毛で、バンバンと力強く叩いて糊をつけていきます。このように糊付けしたものと、ただなでるように糊を塗ったものとでは、貼紙をした時の風合いも変わってくるため、非常に重要な作業。

 

安心安全、天然由来の糊

糊付けに使用される糊は”でんぷん糊”。昔ながらの100%天然由来の糊を使っているので、子供が舐めたりしても安心。

 

繊細な感覚を必要とする貼紙

うちわの透ける部分に、雁皮紙(がんぴし)と呼ばれる薄い高級和紙を貼っていきます。

こちらがその雁皮紙。雁皮紙は、その透き通る美しさから、紙の王様と呼ばれています。

骨を貼り付けていきます。

細かい竹の骨同士が均一に美しく広がるように、糊でくっついてしまった骨を1本1本、微調整していきます。

調整が完了したら、表面も同様に、雁皮紙を貼っていきます。

最後に、慎重に紙を貼り付けます。

竹製のたわしの様な道具で、力強くバンバン叩いて、しっかりと糊を密着させます。絵柄に引っかかって破れてしまうことはありません。

 

待つことも大事、乾燥

糊付けのあとは、1日かけて乾燥させます。

 

一瞬の出来事、削ぎ落とす

乾燥させたら、余分なところをヤスリで削ぎ落とします。非常に早業で、一瞬にして綺麗な曲線を生み出していきます。

 

うちわの形へ

写真の様な鉄製の台に、うちわをセットします。

鉄製の刃をハンマーで勢いよく叩く!

美しいうちわの形に仕上がります。ここから染色をして、カシュウという塗料を塗り、仕上げることで、岐阜うちわは完成。
※カシュウとは、カシューナッツの殻から抽出した塗料。

 

陽に当たると輝きを放つ

染色等の、仕上げを終えた完成品がこちら。雁皮紙を貼り付けた部分が、綺麗に透けています。太陽に照らして見ると、より美しく見えます。

 

職人の道具

職人の道具は、こだわりと歴史があるものばかり。多くは先代から譲り受けたものを使っており、糊を塗る刷毛、染色に使う刷毛など、用途も様々。

 

受け継がれる伝統

こちらの写真は、先代、住井さんのお父様の写真。4代目の住井一成さんも、お父様と同じ場所で、伝統のうちわを作り続けています。

 

室町より伝わる岐阜うちわ

何気なく私達日本人が使っているうちわにも、様々なストーリーがあります。次の夏は、岐阜うちわで涼んでみてはいかがでしょうか。