2015-07-06

勝村顕飛 制作現場

白地の器に黒や赤のラインで幾何学的な模様を描いたユニークな作品を手掛けられる陶芸家の勝村顕飛さん。勝村さんの工房から、その個性的な作品が生まれる現場をお伝えします。

器の制作過程

ろくろ挽きで、花瓶を作っています。勝村さんは主にろくろ挽きやたたら作りと呼ばれる技法で器づくりをしています。

磁器に使用する土は砂気がないので、陶器に使用する粘土よりもなめらか。例えるなら片栗粉や小麦粉のような感覚です。

ろくろ挽きの後は乾燥させて、ある程度水分が抜けて固まったところで、削りの作業に入ります。かんなを使用して、土を削り出して形を作っていきます。

このときのポイントは乾燥具合。通常の陶芸家であれば水分を多く含んだ柔らかい状態で削りますが、勝村さんの場合は少々固くなった絶妙の湿り気具合で削りの作業の行わないと、後の磨きの工程で支障が出てしまいます。
乾燥具合を見極める力も必要となります。

こちらはシッタと呼ばれる道具。先程の削り出しの作業の際に、ろくろの上にシッタを置き、その上に土をのせていきます。
このシッタは陶芸家によっても作り上げる作品によっても、求められる形が違うため、勝村さん自身で作ったオリジナルの道具になります。

全体に撥水剤を塗っていきます。次工程では針でひっかいた部分に顔料をのせていくのですが、撥水剤が表面に塗られていることで、引っかいた部分以外は顔料をはじいて色がつきません。勝村さんの作品ならではの作業。

自作の針を使用してひっかいていきます。このひっかいた部分に顔料を塗っていくことで、独特のデザインが生まれます。

使用する針もデザインにあわせて数種類を使い分けます。

実際にひっかいたところ。

表面に顔料を塗っていきます。撥水剤のおかげで、ひっかいた箇所にだけ色が入ります。

本焼き後は、スポンジ・たわしなどに自作の研磨剤を塗って磨いていきます。焼成前にも光沢が出るまで磨き上げるのですが、焼くことでざらつきが出てしまうため、仕上げの段階でも磨いていきます。

勝村さんの作品は滑らかな質感が特長でもあり、ろくろ挽きの後や削りの作業後にも磨きの作業を必ずはさみます。そうしたちょっとした手間の積み重ねが、完成度の高い作品を生み出すのです。

工房の中の様子

工房内は土足厳禁。磁器という素材は砂やほこりが混じるのを好みません。衣服の毛玉すらも混じってしまうと質が悪くなってしまいますので、常に工房内は清潔にしています。

こちらが普段から使用している電動ろくろ。

工房内にはろくろを回す部屋と、窯がある部屋の二部屋があります。

成形時に乾燥具合の調整をしたい場合、衣装ケースのように密封できる箱に入れてゆっくりと乾燥させていきます。

工房内には、出荷前や乾燥中の作品、サンプルやテスト品などが、棚の上に並べられています。

こちらは顔料の色見本。勝村さんの作品は釉薬はかけませんが、彩色のための顔料を使用します。釉薬はガラス質なのに対し、顔料は酸化金属中心のものです。
釉薬と同様、焼き上げることで色味が変わってきますので、表現できる色の幅を研究しています。

愛用道具

こちらは超硬かんな。磁器の削りの作業に使用する道具です。

左側はへら。黒と青のへらはゴム製で、磁器の表面をなめす際に使用します。シルバーのへらは金属製で、成形する際に使います。
右側はこて。成形時や表面をなめす場合に使用します。ご紹介した愛用道具は全体の一部で、加工する技法や箇所によって、さまざまな道具を使用してものづくりをしていきます。

ものづくりの現場を知ることで、1枚の器であっても、どんな人がどんな場所で、どんな手間をかけて作られているかを知ることができます。作り手を知ることで、焼き物のまた違った一面をお楽しみいただけるのではないでしょうか。