プロフィール

名前    住井一成
年齢          52歳
職人歴   26年「数をこなして、毎日続けていけば、手が勝手に動いてくれます。それが手仕事というもの。」

明治時代から続く、住井冨次郎商店4代目として、岐阜うちわを守り続ける職人。

住井冨次郎商店は、岐阜県で唯一の、岐阜うちわ専業店としても有名であり、昔ながらの伝統技法を継承している。

 

職人インタビュー

 

Q1.住井冨次郎商店の歴史

ご主人様のお名前は一成さんですよね。
でも、お店の名前は「住井冨次郎商店」ということですが、「冨次郎」というのは、お父様のお名前ですか?

いえ、「冨次郎」はおじいさんの名前なんです。
おじいさんの代は、「住井商店」としてやっていたのですが、父の代から「住井冨次郎商店」としています。

私が継いでからも、屋号は変更していません。

お父様は冨次郎さんを尊敬していたんですね。
それでは、一成さんは三代目になるのでしょうか。

私で4代目になります。

正確には分かりませんが、明治時代の中期頃に、初代が店を始めたらしいです。その為、創業してから、100年は経っている事になりますね。

住井さんのご家族は、歴史あるうちわの家系なんですね。
お店も風情があって、とても素敵だなと思いました。

 

Q2.技術のバトン

100年以上前から現代に至るまで、伝統を受け継いでいくことは大変なことだと思います。

そうですね…

住井冨次郎商店も、何事もなく、ここまでやって来れた訳ではないんです。決して、順風満帆ではないんです。

ここまでの道のりには、どんなストーリーがあったのでしょうか。

創業者である初代は、私のおじいさんが小学生の時に亡くなってしまったそうです。

ですが、おじいさんはうちわ職人になるため、他のうちわ職人のもとへ丁稚奉公というかたちで修行を積みました。そんな経緯があり、再び住井商店として、店を再開することが出来たんです。

冨次郎さんのうちわへの情熱が伝わるエピソードですね。
お店が再開することが出来て、本当に良かったと思います。
しかし、その後も色々ありました。
実は私の父である先代も、私が24歳の時に亡くなっているんです。
そして、私が岐阜うちわの職人として生きる道を選択をしたのは、この時からなんです。
一成さんが、亡きお父様の志を引き継いだということなんですね。
住井冨次郎商店の歴史を知ったうえで、改めて商品を手に取ると、非常に感慨深い気持ちになります。

 

Q3.4代目岐阜うちわ職人としての経歴

先ほど、先代のお父様は早くに亡くなられたとお聞きしましたが、それまでに、うちわ作りを教えてもらっていたんですか。

いや、私は26歳までサラリーマンをしていんです。
そのため、岐阜うちわを仕事として父親と一緒にしていたことは無いんです。

そうなのですか。では、どのように技術を習得なさったのでしょうか。

仕事場が実家なわけですから、私が子供の時から、父親、母親、おじいさんがうちわを作っている現場を直に見て、手伝ってきました。

先代の仕事ぶりは、ずっと私の心に焼き付いていましたので、うちわ作りの工程については、大抵は理解していました。

小さい頃から、日々の生活の中で、自然と身についていったんですね。
あとは作る際の力加減などを、試行錯誤しながら、実践を通して覚えていきました。いろんな失敗を繰り返して、うまく作るコツを勉強していくんです。
技術と同じ様に、うちわ作りに対する情熱も、冨次郎さんやお父様から一成さんへ、しっかりと受け継がれているように思いました。日々の努力が、今に結びついているんですね。
そうかもしれません。
どうしても分からないことは、おじいさんや先代を知る母親に助言を頂きながら、何とか住井冨次郎商店として、岐阜うちわを作り続けることができました。

 

Q4.岐阜うちわの特徴

日本には京都府や千葉県など、他にもうちわの名産地がありますが、岐阜うちわの特徴としては、どのようなところでしょうか。

まぁそれぞれの産地で、使用している木の種類や、組み立て方など異なりますが、岐阜うちわ最大の特徴は、紙のままではなくて、仕上げに塗りの工程があることでしょうか。

塗りの工程があることで、破れにくく頑丈で、趣のある上品なうちわに仕上がるんです。

私もこんなに艶があるうちわは見たことがありません。
太陽にあたると輝いて、とっても素敵です。

日本の夏は暑いですから、うちわや扇子といった涼をとるアイテムは、昔から日常でよく使用されてきました。

そこに美しさを求めて完成したのが、岐阜うちわなんです。
陽に照らされた岐阜うちわの輝きは、他では出せない味です。

 

Q5.岐阜県の伝統工芸

岐阜うちわは、岐阜市の伝統工芸品として有名ですが、なぜこの地でうちわが作られるようになったのでしょうか。

うちわを作るための材料がこの地に揃っていたからです。
うちわを作るには、良質な竹と良質な和紙が必要になります。

岐阜の土地は、自然に恵まれており、良質な竹林も多いです。
また、美濃和紙と呼ばれる、素晴らしい和紙の産地としても有名なので、うちわを作るには最適な環境だといえます。

岐阜の大地が生んだ名産ですね。
そういえば、岐阜市には、他にも和紙を使った工芸品が沢山ありますよね。

そうですね。
岐阜市には他にも、提灯や和傘が伝統産業として根付いています。
そのどちらも、竹と和紙を必要とします。

そうでした!
竹と和紙の組み合わせは、日本を感じます。
和の心ですね。